P-hour presents "with frogs"@法然院

今日はまったり系のP-hour presents "with frogs"。

AX以来のニカさんと友人イチオシの大友さん。

さてどんな音が聞けるのか、楽しみ。

京都駅で待ち合わせて、バスで法然院へ向かう。

車内のアナウンスで祇園祭を思い出す。

今年もこの季節がきたのかと、うんざりする人混みを横目で見ながら河原町を抜けて行く。

ああ、間に合うのか?

ホントに大丈夫なのか?とちと焦りながら京都の街中を通り過ぎる。



で、はたと気付く。

『もう着いても良い頃かな。もう一度携帯で確認を・・・』



げっ!

乗ったバスと違うバスの降りる停留所を探してたゾ。

で、同時に友達も気付く。

いやはや、すいません、ホントに頼りにならない道案内で。

でも、なんとかタクシーの運ちゃんにすがりながら法然院入り口に到着。

早足で坂道を登る。



でも久しぶりの緑の濃い道。

むせかえる程の酸素。

ああ、早足だなんてもったいない、と開演時間間近にも関わらず1枚。



ここが京都の街だと思えない程の静けさの中を進む。

懐かしい感じすらする寺務所を入り、板の間の廊下を静かに進む。

18時をちょっとすぎたあたりだったけど、まだ始まってなかった。



いつもと違う雰囲気の会場。

ロケーションだけでなく、人も違うのかな。

暑い日差しもゆるみ、京都市内?と思う程の涼しげな寺務所内。

ああ、懐かしい。

板の間のきしむ音。

蝉の声。

風の音。



古きよき日本の風景とは言い過ぎかもしれないけれど、懐かしさでいっぱいになる。

お座布団を引き寄せ、廊下に座る。



しばらくして大友さんが登場。

友人たちイチオシの話ではもっと違う印象だったけれど、ギターをもって現れた彼は優しげでちょっと大きい感じ。



演奏が始まると、時折ふく風の音にのるかのようにギターの音が庭へ広がる。

さらに時折、蝉の鳴き声が大きくなり、また呼応するかのようにギターが響く。

もひとつ、カエルの鳴き声が届く。



ああ、気持ち良すぎる。

思っていた以上のロケーションで、初めて聴くギターの音が染み込んでくる。

ああ、極楽、極楽。

それ以外に言葉はない。



あっというまに大友さんの時間が終わる。

しばしの休息に庭を見る。



暑い京都を観光するぐらいなら、ここにきた方が京都を感じられたんじゃないの?とか思う。

祇園祭なんて暑いだけだもの。

極楽浄土はここなのさ。



そうこうするうちに暗闇が襲ってくる。

といっても、自然と暗くなってくるので目もそれに順応しながら時が過ぎる。

ああ、ニカさんはどんな音を聞かせてくれるのか楽しみだ。



今日のニカさんは濃い青のワンピース。

手には透明の数珠をつけている。



ワタシはあまりニカさんの唄い方が好きではない。

でも今日は本当に素敵だった。



歌声というよりも、ニカさんの声は楽器だ。

そう、ギターでもなく、ピアノでもなく、唯一無二の楽器。

ニカさんから発せられる音は庭に、本堂に、風に混じりながら響き渡る。



途中、ふと気付く。

『これ、お経の節と同じだ』と。

そう、聞き慣れたお経をニカさんが唄っていた。

なんだか、とても満足していた。

何もかもに感謝できそうなぐらいに。



ラジカクでカクバリさんがお葬式にニカさんでお経を唱えて欲しいとか、ラバーズロックをかけてほしいと言っていたアレを思い出した。

ワタシなら、絶対いなくなったあとにニカさんにお経を唱えてほしい。

っていうか、この音源をかけてくれたらそれでいい。



自分のいなくなった後のコトを思ったのはコレが最初だ。



そしてアンコールで大友さんとニカさんが登場。

アンコールを考えていなかったという二人だったけれど、やってくれたのは蘇州夜曲。



これがよかった。

泣けた。

いや、涙はでてないけど。

ぐっときた。

大友さんの強過ぎず、弱過ぎず、繊細なギターの音色とニカさんの歌声。

もう、言葉がない。

ただただ、包まれているこの瞬間が幸せで。



何度か聞いた蘇州夜曲。

でも、今日の蘇州夜曲がワタシには一番沁みた。



ありがとう、大友さん。

ありがとう、ニカさん。



いつか説法を聞かせて下さい。





緑と暗闇と風と虫の音と二人の音に打たれた7月の京都の夜。

最高でした。